学園を舞台にした美少女バトルというジャンルの痛快ストーリー!
学園バトル女子ものです!
一定層に需要があるジャンルですね、
物語は、学園の頂点を目指して主人公がトーナメントを勝ち抜いていく展開。
笑える部分も多くて大好きなんだけど、試合中の心理状態を入れてくる描写が俊逸!
臨場感を感じさせる書き方が上手いと思います。
実はダブル主人公
【飛び膝蹴りのお嬢様】の異名を持つ格闘の天才である小鳥遊紗耶香がメインの感じのタイトルだが、友達の高阪碧も、主人公だと思われる。
控えめで自分の実力に自信の持てない彼女は、小鳥遊と対になってるキャラクター。
彼女が小鳥遊紗耶香に次第に影響され、戦い、成長していく物語でもある。
バトルものが愛されるのは、戦いによってキャラクターの成長があるからだ。
『跳びヒザ蹴りのお嬢様!』それを十分に堪能させてくれる。
おそらく読み手が感情移入するのは高坂碧の方だろう。
百合的要素もちらつかせながら、高阪碧が友人と同時に憧れともなっている小鳥遊紗耶香に近づこうと努力していく姿が愛おしい!
特殊なキャラクター小鳥遊紗耶香
小鳥遊紗耶香は高坂碧のシャドウであり、メンターであり、シェイプシフターであり、そして敵対者の役割を兼ねていく。
複数の役割を持つこれがキャラの魅力を増している。話が進みほどに高坂碧に対しての役割が変化していくところが面白い要素。ただし小鳥遊紗耶香はブレない。
キャラが複数の役割を持つのは珍しくない。
映画ではマイケル・マン監督『コルテラル』でトム・クルーズが演じる殺し屋、ダースベイダーなんかもそれにあたる。
キャラとしては成長しきっているといえる小鳥遊紗耶香だが、もし単独の主人公であれば、物語の魅力は半減していただろう。
物語を通して成長していくキャラ高坂碧をパートナーに置く事によって光るキャラともいえる。
50年代のハリウッド西部劇の傑作『リオ・ブラボー』では、主人公は完全無欠ともいえるヒーローだが、相棒に酔いどれ保安官を配して物語を通して彼が立ち直るサイドストーリーを入れて全体のバランスを取っている。
『Fate/stay night』ではヒロイン、セイバーは、強く基本ブレないが、過去の体験から葛藤を抱えるマスターからの影響を受ける事でキャラの魅力を増している。
ブレがないキャラには、未熟で不完全なパートナーが必要だ。
これらは『飛び膝蹴りのお嬢様!』にも盛り込まれている作品的魅力の要素。
なんだかんだ言っても読んでいて楽しい!
真面目な事を語りましたが『飛び膝蹴りのお嬢様!』は読んでいてとっても楽しい作品!
とにかくギャグが笑えます。
小鳥遊紗耶香のブレなさが強烈で魅力的。
笑わせるコミカルな要素と勝負のタクティクスの描き方が楽しめるバランスの取れた作品です。
ライバルキャラたちも魅力的で彼女たちのスピンオフなんかもあったらいいのにな、と思ってます。
というわけで『飛び膝蹴りのお嬢様!』おすすめです!
キャラ立ちの勉強にもなるよ!