第5章 少年漫画の“順番バトル”は忍者漫画が原型だった
――敵幹部との1対1バトル形式はここから始まった
少年漫画のバトルといえば、 「主人公チームと敵チームが、1対1で順番に戦っていく」 という形式が定番です。
- 『ドラゴンボール』のレッドリボン軍
- 『幽☆遊☆白書』の暗黒武術会
- 『ワンピース』の敵幹部との個別戦
- 『NARUTO』の忍者同士の対決
これらはすべて、 “順番バトル”という共通の構造を持っています。
しかし、この形式はどこから生まれたのでしょうか?
その答えは── 忍者漫画です。
■ 忍者漫画が作った“個別戦”というドラマ構造
1960年代の忍者漫画、 特に白土三平や横山光輝の作品には、 現代のバトル漫画に通じる構造がすでに存在していました。
忍者漫画では、
- 敵側にも複数の忍者がいる
- それぞれが固有の技や能力を持つ
- 主人公側の仲間と“個別に戦う”
- 戦いの順番が物語の緊張感を生む
という形式が頻繁に描かれました。
これは、 敵の能力をひとりずつ明かしながら物語を進める という、非常にドラマチックな手法です。
読者は、 「次はどんな敵が出てくるのか」 「誰がどの敵と戦うのか」 という期待感を持ちながら読み進めることができます。
この構造こそが、 後の少年漫画に受け継がれる“順番バトル”の原型となりました。
■ 忍者は“能力バトル”の先駆者だった
忍者漫画の特徴は、 キャラクターごとに異なる技や戦闘スタイルを持たせる点にあります。
- 火遁の術
- 水遁の術
- 変わり身
- 影分身
- 仕掛け武器
- 特殊な体術
こうした“能力の差異”が、 キャラクター同士の個別戦を際立たせました。
これはそのまま、 後の少年漫画の“能力バトル”へと発展していきます。
つまり、 能力バトル × 順番バトル という少年漫画の黄金パターンは、 忍者漫画が最初に作り上げたものなのです。
■ 忍者漫画の構造はなぜ少年漫画と相性が良かったのか?
理由はシンプルで、 少年漫画が求める“ワクワク感”と“緊張感”を自然に生み出せるからです。
- 敵が複数いる
- それぞれが強い
- 主人公チームが順番に戦う
- 仲間の成長や見せ場が作れる
- 敵の能力が毎回違うので飽きない
この構造は、 読者の期待を裏切らず、 かつ毎回新鮮な展開を作ることができます。
忍者漫画は、 少年漫画が求める“連載向けのバトル構造”を 自然に備えていたのです。
■ 忍者漫画は少年漫画の“戦闘フォーマット”を作った
こうして忍者漫画は、 現代の少年漫画に欠かせない以下の要素を生み出しました。
- 個別バトル
- 能力バトル
- 敵幹部との順番戦
- 仲間同士の役割分担
- 敵の能力をひとりずつ明かす構造
- 連載向けのテンポの良さ
これらはすべて、 忍者漫画が最初に確立したフォーマットです。
そしてこのフォーマットを“決定的に完成させた人物”が、 次章で登場する 車田正美 となります。