1932年に公開された映画『グランド・ホテル』は、ベルリンの高級ホテルを舞台に、そこに集まった人々の人生が交錯する様子を描いた作品です。複数の登場人物の物語が同時進行し、最後に絡み合うというスタイルは「グランド・ホテル形式」と呼ばれ、群像劇の代表的な形として映画史に大きな影響を与えました。
基本情報
公開:1932年(アメリカ、MGM制作)
監督:エドマンド・グールディング
原作:ヴィッキイ・バウム『ホテルの人びと』
主演:グレタ・ガルボ、ジョン・バリモア、ジョーン・クロフォード、ウォーレス・ビアリー、ライオネル・バリモア
受賞:第5回アカデミー賞 作品賞
登場人物と物語
ホテルに集う人々はそれぞれ異なる悩みや目的を抱えています。
落ち目のバレリーナ(グレタ・ガルボ)
借金に追われる男爵(ジョン・バリモア)
出世を夢見る速記者(ジョーン・クロフォード)
破産寸前の実業家(ウォーレス・ビアリー)
余命わずかな会計係(ライオネル・バリモア)
彼らの人生がホテルという閉じられた空間で交錯し、愛・裏切り・希望・絶望が入り混じっていきます。
映画史的意義
群像劇の形式を確立し「グランド・ホテル形式」と呼ばれるようになった。
MGMの豪華キャストを集めたオールスター映画の先駆け。
後の『タワーリング・インフェルノ』『クラッシュ』『ラブ・アクチュアリー』などに影響を与えた。
グレタ・ガルボの「I want to be alone(私を一人にさせて)」は映画史に残る名言。
まとめ
『グランド・ホテル』は、群像劇映画の原点とも言える作品です。ホテルという舞台で複数の人々の物語が同時進行し、最後に交錯する構造は、その後の映画やドラマに大きな影響を与えました。豪華キャストによる群像劇の成功例として、映画史において非常に重要な位置を占めています。
グランド・ホテル形式とは
1932年の映画『グランド・ホテル』で確立された、一つの場所や出来事に複数の人物を集め、それぞれの物語を同時進行で描き、最後に交錯させる群像劇のスタイル。 この形式は「群像劇映画の原点」とされ、後の映画やドラマに大きな影響を与えました。
影響を受けた代表的な作品
『タワーリング・インフェルノ』(1974) 高層ビル火災を舞台に、消防士、設計者、住人など多様な人物の物語が交錯。災害映画に群像劇形式を導入した代表例。
『エアポート』シリーズ(1970年代) 空港や飛行機を舞台に、乗客・乗員・関係者の人生が同時進行する「空港映画」として群像劇形式を継承。
『ラブ・アクチュアリー』(2003) クリスマスを背景に、複数の恋愛模様が同時進行し、最後に少しずつつながる現代的な恋愛群像劇。
『クラッシュ』(2004) ロサンゼルスを舞台に、人種や階級の異なる人々の物語が交錯し、社会問題を群像劇的に描いた作品。
『クラウド・アトラス』(2012) 時代や場所を超えて複数の人生がつながる壮大な群像劇。
まとめ
『グランド・ホテル』で生まれた群像劇のスタイルは、災害映画(『タワーリング・インフェルノ』)、空港映画(『エアポート』シリーズ)、恋愛群像劇(『ラブ・アクチュアリー』)、社会派群像劇(『クラッシュ』)など、ジャンルを超えて受け継がれてきました。 つまり「グランド・ホテル形式」は、人々の物語を同時進行させ、最後に交錯させる群像劇の基本形として、現代まで幅広く応用され続けているのです。