ゴシック・サーペント作戦とは?
― 映画『ブラックホーク・ダウン』の元になった実在の軍事作戦を解説
1993年、ソマリアの首都モガディシュで行われたアメリカ軍の特殊部隊作戦―― それが 「ゴシック・サーペント作戦(Operation Gothic Serpent)」 です。
映画『ブラックホーク・ダウン』の題材になったことで広く知られていますが、 実際の作戦は映画以上に複雑で、国際政治にも大きな影響を与えました。
この記事では、作戦の目的・経緯・結果をわかりやすく解説します。
■ ゴシック・サーペント作戦の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 1993年8月22日〜10月13日 |
| 場所 | ソマリア・モガディシュ |
| 目的 | アイディード派幹部の拘束(斬首作戦) |
| 参加部隊 | レンジャー連隊、デルタフォース、160th SOAR(航空部隊)など |
| 結果 | ソマリア国民同盟(SNA)の勝利、米軍撤退 |
アメリカ軍は国連の平和維持活動(UNOSOM II)の一環としてソマリアに派遣されており、 人道支援を妨害していた武装勢力アイディード派の指導部を無力化するために作戦を開始しました。
■ 作戦の目的:アイディード派の“斬首作戦”
当時のソマリアは内戦状態で、 武装勢力「ソマリア国民同盟(SNA)」を率いる モハメド・ファラ・アイディード が国連部隊に抵抗していました。
アメリカ軍は、
- アイディード派の幹部を拘束し
- 組織の指揮系統を崩壊させ
- 治安を安定させる
という目的で作戦を開始します。
■ しかし作戦は予想外の展開へ
― ブラックホーク撃墜がすべてを変えた
1993年10月3日。 アメリカ軍はアイディード派幹部の会合を急襲しますが、 作戦中に ブラックホーク(MH-60)ヘリが撃墜 されます。
これにより状況は一変。
本来は“1時間以内に終わるはずの拘束作戦”が、 一夜に及ぶ激しい市街戦へと発展します。
この戦闘が、後に「モガディシュの戦闘」と呼ばれる出来事です。
■ 作戦の結果:アメリカ軍の撤退へ
作戦は最終的に アメリカ軍の戦術的敗北 と評価されています。
- 米軍死者18名・負傷者73名(映画でも描写)
- ブラックホーク2機撃墜
- 米軍は10月20日に撤退
- 国連部隊も1995年に撤退
アメリカ国内では大きな批判が起こり、 以後の海外介入政策に影響を与えたと言われています。
■ なぜ失敗したのか?
- 敵勢力の規模を過小評価
- 市街地戦闘の困難さ
- ブラックホーク撃墜による救出作戦への転換
- 国際政治的な制約で増援が難しかった
これらが重なり、作戦は目的を達成できずに終わりました。
■ 映画『ブラックホーク・ダウン』との関係
映画は、この作戦の中でも 1993年10月3〜4日の戦闘 を中心に描いています。 登場人物の多くは実在し、戦闘の流れも史実に基づいています。
- レンジャー部隊の奮闘
- デルタフォースの救出行動
- ブラックホーク墜落地点の攻防
これらはすべて、ゴシック・サーペント作戦の一部です。
■ まとめ
ゴシック・サーペント作戦とは、 1993年にアメリカ軍がソマリアで実施した“幹部拘束作戦”で、 ブラックホーク撃墜をきっかけに激戦へ発展し、最終的に失敗した軍事行動です。
映画『ブラックホーク・ダウン』は、この作戦のリアルな一日を描いた作品と言えます。
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