怪談って、ただ「怖い話」ではなく、ある程度決まった“構造”や“型”がある物語ジャンルなんです。 その構造を理解すると、読むのも書くのも一気に面白くなります。
ここでは、怪談の基本構造をわかりやすく整理してみます。

怪談の基本構造
怪談は大きく分けると 5つの要素で成り立っています。
① 導入(日常)
怪談は必ず “普通の世界” から始まります。
- 何気ない日常
- いつもの場所
- 普通の人間関係
- 何も起きていない状態
この「日常」がしっかり描かれるほど、後の“異常”が際立つんです。
② 兆し(違和感)
次に、ほんの小さな“ズレ”が現れます。
- 気配
- 音
- 誰かの視線
- 物の位置が変わる
- 説明できない出来事
怪談の怖さは、この 「違和感の積み重ね」 で作られます。

③ 顕現(怪異の正体が現れる)
違和感が積み重なった後、ついに怪異が姿を見せます。
- 幽霊が見える
- 声が聞こえる
- 異常な現象が起きる
- 人が消える・狂う
ここが怪談の“山場”。 ただし、怪異の正体を 完全に説明しない のがポイントです。 説明しすぎると怖さが消えるため、あえて曖昧にするのが怪談の技法。
④ 余韻(後を引く恐怖)
怪談は「怪異が出た!終わり!」ではなく、 その後に残る不安や余韻 が重要です。
- 主人公が逃げても、何かがついてくる
- 事件は終わったように見えて終わっていない
- 読者だけが“真相”に気づく
- 最後の一文で背筋が凍る
怪談の醍醐味は、この “後味の悪さ” にあります。
⑤ 語り手の存在(怪談の独特な語り口)
怪談にはしばしば 語り手 がいます。
- 「これは友人から聞いた話なんだけど…」
- 「実は私の地元で…」
- 「今でもあの場所には…」
この“語りの形式”が、怪談をリアルに感じさせる装置になっています。
語り手が 「本当にあった話」 として語ることで、読者はフィクションと現実の境界を曖昧にされるんです。
怪談の構造まとめ
| 段階 | 内容 | 役割 |
|---|---|---|
| ① 日常 | 普通の世界 | 怪異との対比を作る |
| ② 兆し | 小さな違和感 | 不安を積み上げる |
| ③ 顕現 | 怪異が現れる | クライマックス |
| ④ 余韻 | 後を引く恐怖 | 怪談らしさの核心 |
| ⑤ 語り手 | 語りの形式 | “本当にあった話”感を演出 |
怪談が“怖くなる理由”
怪談はホラー映画と違い、 視覚的な恐怖より、心理的な恐怖を重視 します。
- 説明されない
- 曖昧なまま終わる
- 読者の想像力に委ねる
- 日常に侵入してくる
この“余白”が、怪談の怖さを作るんです。
参考:「怖い話投稿サイト 奇々怪々」
ホラー 関連の記事
『バイオハザード(2002)』 通常三幕構成とホラー映画三幕構成の違い
『バイオハザード(2002)』 通常三幕構成とホラー映画三幕構成の違い 1. 第一幕 通常の三幕構成:主人公の日常が提示され、目標や課題が明確になり「旅立ち」へ進む。 ホラー映画の三幕構成:日常に小さ…
怪談はなぜ怖いのか?― 人間の本能を揺さぶる「見えない恐怖」の正体 ―
怪談はなぜ怖いのか? ― 人間の本能を揺さぶる「見えない恐怖」の正体 ― 夏になると読みたくなる怪談。 でも、よく考えると不思議じゃないでしょうか。 幽霊を見たことがなくても、怪談を読むだけで背筋がゾ…
『バイオハザード(2002)』の三幕構成解説(ホラー型三幕構成)
『バイオハザード(2002)』ホラー映画としての三幕構成解説 『バイオハザード』は、アンブレラ社の地下研究施設「ハイブ」で発生したゾンビ災害を描き、主人公アリスが仲間と共に恐怖と絶望に直面しながら真実…
スティーヴン・キング初期の傑作『セイラムズ・ロット』を徹底解説!
スティーヴン・キング初期の傑作『セイラムズ・ロット』を徹底解説! スティーヴン・キングの名作ホラー『セイラムズ・ロット(呪われた町)』について、作品の魅力や登場人物をまとめて紹介していきます。 吸血鬼…
『THE SIN 罪』廃墟で踊る女優、その一歩が運命を変える
『THE SIN 罪』 新人女優シヨンが挑む、恐怖と謎に満ちたデビュー作 あらすじ 新人女優シヨンは映画撮影のため、山奥の廃墟へと足を踏み入れる。癖のある監督とのトラブルで現場の空気は悪化し、次第に彼…
怖い話が好きな人におすすめ ユーザー投稿型怪談サイト「奇々怪々」とは?
怖い話が好きな人におすすめ ユーザー投稿型怪談サイト「奇々怪々」とは? 「奇々怪々(ききかいかい)」 は、ユーザーが自由に“怖い話”を投稿し、読者が楽しめる怪談専門サイトです。心霊体験から都市伝説、意…
ホラー型三幕構成とは?― “じわ怖”から“絶望”まで、恐怖を段階的に育てる物語術
ホラー型三幕構成とは? ― “じわ怖”から“絶望”まで、恐怖を段階的に育てる物語術 ホラー作品を作るとき、 「どうやって怖さを積み上げればいいのか」 「どこで盛り上げればいいのか」 と悩む人は多いもの…
『セイラムズ・ロット』の主要人物キャラハン神父とは? ― 信仰と恐怖の狭間で揺れる男
キャラハン神父とは? ― 信仰と恐怖の狭間で揺れる男 スティーヴン・キングの『セイラムズ・ロット(呪われた町)』に登場するキャラハン神父は、 単なる“吸血鬼と戦う神父”ではありません。 彼は、 信仰に…
マウス・オブ・マッドネス
『マウス・オブ・マッドネス』は1994年公開のジョン・カーペンター監督ホラー映画。主演はサム・ニール。失踪したホラー作家を追う保険調査員が、作家の小説世界に引き込まれ、現実と虚構の境界が崩壊していく。…